皺眉筋(しゅうビキン)のこわばりと眉間の縦ジワ|不機嫌に見える表情癖の正体

鏡を見たとき、あるいはふとした瞬間に撮影された写真を見たとき、ご自身の眉間に刻まれた深い縦ジワに驚いた経験はないでしょうか。
特に怒っているわけでも、不快な思いをしているわけでもないのに「不機嫌そう」「怒っているの?」と周囲から誤解を受けてしまうことは、対人関係において大きな損失となりかねません。
この眉間の縦ジワを生み出す最大の原因こそが、眉毛の奥深くに存在する「皺眉筋(しゅうビキン)」の過度な緊張とこわばりです。
本記事では、この筋肉の特性を正しく理解し、なぜこわばりが生じるのか、そしてどのように対処すれば柔らかな表情を取り戻せるのかについて、包括的かつ実践的な情報を提供します。
皺眉筋の基礎知識と眉間のシワが形成される構造
眉間の縦ジワが深く刻まれる根本的な原因は眉毛の内側を起点として皮膚を動かす皺眉筋が過剰に発達し、凝り固まってしまうことにあります。
この筋肉は私たちがまぶしいと感じたり、何かに集中したりする際に無意識に収縮を繰り返しており、その蓄積が皮膚表面の折れ癖として定着してしまうのです。
皺眉筋の位置と本来の役割
顔の表情筋の中でも特に強力な力を持つ皺眉筋は眉頭(眉毛の内側)の骨から始まり、眉毛の中央付近の皮膚に向かって斜め上に伸びている筋肉です。この筋肉が収縮すると、眉毛が内側かつ下方へと強く引き寄せられます。
本来、この動きは強い日差しから目を守るために目を細めたり、不快な感情を表現したりするために備わっている重要な機能です。
しかし、日常生活において本来の必要性を超えて頻繁にこの筋肉を使用し続けると筋肉自体が肥大化し、常に収縮したような緊張状態が続くことになります。
筋肉の厚みが増すことで眉毛部分が隆起し、その谷間となる眉間に深い影が落ちるようになります。これが、シワがより深く、濃く見えてしまう要因の一つです。
皮膚が記憶する折れ癖の恐怖
若い頃は肌に十分な弾力や水分量があるため、一時的に眉をひそめてシワが寄ったとしても、表情を戻せばすぐに滑らかな状態へと回復します。
しかし、加齢とともに肌の真皮層にあるコラーゲンやエラスチンといった弾力線維が減少すると、形状記憶のような現象が起こり始めます。
皺眉筋が収縮するたびに皮膚は同じ場所で繰り返し折り畳まれます。これを長期間、毎日何百回と繰り返すことは、紙を何度も同じ場所で折り曲げる行為に似ています。
最終的には表情を作っていない無表情の状態であっても、皮膚に深い溝(縦ジワ)が刻まれたまま戻らなくなってしまうのです。この段階に至ると単なる乾燥小ジワとは異なり、スキンケアだけでの改善は困難を極めます。
表情筋の連動性と代償動作
顔の筋肉はそれぞれが独立して動いているわけではなく、互いに密接に連動し合っています。皺眉筋がこわばり、常に緊張状態にあると、隣接する鼻根筋(びこんきん)や前頭筋(ぜんとうきん)にも悪影響を及ぼします。
例えば、皺眉筋によって眉が下がると無意識に目を開こうとしておでこの筋肉である前頭筋を過剰に使い、今度はおでこの横ジワを誘発するという悪循環が生まれます。
また、目の周りを取り囲む眼輪筋とも拮抗関係にあるため、皺眉筋の緊張は目元のたるみや重さにも直結します。眉間のシワ単体の問題として捉えるのではなく、顔全体のバランスを崩す起点として皺眉筋を認識することが重要です。
筋肉とシワの関係性の整理
| 部位・名称 | 主な動きと特徴 | シワへの影響 |
|---|---|---|
| 皺眉筋(しゅうビキン) | 眉を内側・下方に引き寄せる動きを担当。表情筋の中でも力が強い | 眉間に深く鋭い「縦ジワ」を形成する直接的な原因となる |
| 鼻根筋(びこんきん) | 眉間を引き下げ、鼻の付け根に皮膚を寄せる | 目と目の間、鼻の付け根に「横ジワ」を作る |
| 皮膚の弾力低下 | 加齢や紫外線により真皮層の構造が弱まる | 筋肉の収縮による皮膚の折り畳みが戻らなくなり、シワが定着する |
日常生活に潜む皺眉筋をこわばらせる原因
皺眉筋が過度に緊張し、石のように硬くなってしまう背景には、現代人特有の生活習慣や環境要因が深く関与しています。
特にデジタルデバイスの普及や精神的なストレスは、無自覚のうちに「しかめっ面」を定着させる大きな要因となっています。
デジタルデバイスによる眼精疲労と凝視
スマートフォンやパソコンの画面を長時間見続けることは、現代における皺眉筋こわばりの最大の要因といっても過言ではありません。
小さな画面上の文字や画像を凝視する際、人は無意識のうちにピントを合わせようとして眉間に力を入れます。この「凝視する」という行為自体が、皺眉筋を持続的に収縮させている状態です。
また、ブルーライトによる目の奥の痛みや眼精疲労は目の周りの筋肉全体の血流を悪化させ、疲労物質を蓄積させます。結果として筋肉の柔軟性が失われ、常に眉をひそめているような緊張状態がデフォルト化してしまうのです。
寝る直前まで暗い部屋でスマートフォンを操作する習慣は、一日の終わりに皺眉筋を最大限に酷使することになり、睡眠中も緊張が解けない原因となります。
視力低下やコンタクトレンズの不具合
視力の低下や度数の合っていない眼鏡・コンタクトレンズの使用も、眉間のシワを深くする隠れた要因です。
ものが見えにくいとき、人は無意識に目を細めて焦点を合わせようとします。この「目を細める」動作は、眼輪筋だけでなく皺眉筋を強く収縮させる動きを伴います。
特に、老眼が始まりかけているにもかかわらず適切な矯正を行っていない場合や、ドライアイで目が乾きやすい場合は、一日の大半を目を細めて過ごすことになりかねません。
見えにくさを筋肉の力でカバーしようとする代償行為が、結果として眉間の深い溝となって現れるのです。
ストレスによる無意識の噛み締めと緊張
精神的なストレスや緊張感も、表情筋のこわばりに直結します。人はストレスを感じると防御反応として身体に力が入りますが、特に顎の噛み締め(食いしばり)と眉間の緊張はセットで起こりやすい反応です。
仕事で困難な課題に直面しているとき、痛みに耐えているとき、あるいは不快な音を聞いたときなど、脳が「不快」と判断した瞬間に皺眉筋には指令が送られ、収縮します。
慢性的なストレス環境下ではリラックスしているつもりでも眉間に力が入り続けていることが多く、これが「寝ている間も眉間にシワが寄っている」という深刻な事態を引き起こします。
こわばりを招く日常的な習慣
- スマートフォンの画面を顔に近づけて長時間閲覧する
- 度数が合わなくなった眼鏡やコンタクトレンズを使い続ける
- 仕事中や運転中など、集中すると無意識に歯を食いしばる
- 眩しい屋外に出た際に、サングラスを使用せず目を細める
- 睡眠の質が悪く、就寝中も歯ぎしりや顔の緊張が続いている
不機嫌な印象が与える社会的・心理的デメリット
眉間の縦ジワが単なるエイジングサインにとどまらず深刻な悩みとなるのは、それが他者に与える「感情的な印象」を大きく歪めてしまうからです。
皺眉筋のこわばりによって形成されたシワは本人の内面とは無関係にネガティブなメッセージを発信し続け、社会生活において様々な誤解を生む原因となります。
第一印象における「怒り」と「拒絶」のシグナル
人間の脳は相手の表情から瞬時に感情を読み取る能力を持っています。眉間に縦ジワが寄っている表情は生物学的にも「怒り」「攻撃」「拒絶」「苦痛」を表すサインとして認識されます。
そのため、初対面の相手に対し、ただそこにいるだけで「怖そうな人」「気難しそうな人」という警戒心を抱かせてしまう可能性があります。
ビジネスシーンにおいては、真剣に話を聞いているだけなのに「提案に不満があるのだろうか」「反論されるのではないか」と相手を萎縮させ、円滑なコミュニケーションを阻害する要因にもなり得ます。
言葉を交わす前の段階でマイナスのバイアスがかかってしまうことは、信頼関係を構築する上で大きなハンディキャップとなります。
自己イメージの低下と表情の硬直化
他者からの評価だけでなく、自分自身が鏡を見たときに受ける心理的影響も無視できません。鏡に映る自分の顔が常に険しく、疲れているように見えると、「自分は老けた」「疲れている」という自己暗示にかかり、気分まで落ち込んでしまうことがあります。
また、シワを見たくないがあまり鏡を見る回数が減ったり、シワを隠そうとして前髪で顔を覆ったりすることで、表情全体がさらに乏しくなる傾向もあります。
笑顔を作っても眉間のシワが邪魔をして心からの笑顔に見えないと感じると、人前で笑うこと自体を躊躇するようになり、表情筋を使わないことでさらに顔全体のたるみが進行するという負のスパイラルに陥ることもあります。
老けて見える「影」の正体
見た目年齢を大きく左右するのは、肌のキメやシミ以上に「顔に落ちる影」の存在です。皺眉筋が肥大化して盛り上がり、その間の皮膚が陥没してできる眉間の縦ジワは、顔の中心にはっきりとした黒い影を作ります。
顔の中心部は視線が最も集まる場所であり、ここに深い影があることは、顔全体を暗く、沈んだ印象に見せます。また、眉間の緊張は眉毛の位置を下げるため、まぶたが重く被さり、目力が弱まったように見えます。
これらが複合的に作用し、実年齢以上に老け込んだ、活力のない印象を与えてしまうのです。
シワの有無による印象の違い
| 要素 | 眉間の縦ジワがある場合の印象 | 眉間の縦ジワがない場合の印象 |
|---|---|---|
| 感情の読み取り | 怒っている、イライラしている、不満がある、神経質 | 穏やか、話しかけやすい、受容的、明るい |
| ビジネスシーン | 威圧的で近寄りがたい、厳格すぎる | 余裕がある、理性的、協調性がある |
| 見た目年齢 | 実年齢より高く見える、苦労しているように見える | 若々しい、健康的、手入れが行き届いている |
皺眉筋のコリレベルを確認するセルフチェック
ご自身の皺眉筋がどの程度こわばっているのか、また眉間のシワがどの段階にあるのかを客観的に把握することは、適切な対策を講じるための第一歩です。
日々の生活の中で無意識に行っている動作や、触れたときの感覚から、現在の「コリレベル」を判定しましょう。
指の感覚で確かめる筋肉の硬化度
まず、人差し指と親指で眉毛の始まり(眉頭)部分を深くつまんでみてください。このとき、皮膚だけでなく奥にある筋肉を捉えるように意識します。健康で柔軟性のある皺眉筋であれば、指が筋肉の奥まで沈み込み、弾力を感じることができます。
しかし、重度のこわばりがある場合、まるで石や硬いゴムが入っているかのようにガチガチに固まっており、つまむことさえ困難な場合があります。
また、つまんだ瞬間に強い痛みや、ツーンと響くような不快感がある場合は、筋肉が炎症に近い緊張状態にあり、老廃物が蓄積している証拠です。
さらに、眉頭の部分が眉尻に比べて明らかに分厚く盛り上がっている場合、筋肉の肥大化が進んでいると考えられます。
鏡を使った動作チェック
鏡を正面に置き、通常の表情から目を大きく見開いたり、ギュッと閉じたりしてみましょう。その際、眉間にシワが寄るかどうかを確認します。表情を作った瞬間にシワができるのは自然なことですが、表情を戻してからシワが消えるまでの時間を計測します。
表情を戻しても数秒間シワの跡が残る場合、あるいは真顔に戻ってもうっすらと線が残っている場合は、皮膚の弾力低下と筋肉の拘縮が同時に進行している危険信号です。
また、目を大きく開こうとしたときに、眉毛も一緒に大きく持ち上がってしまう人はまぶたを開ける力が弱まっており、おでこや眉間の力を使って目を開けている可能性が高く、将来的に深いシワができるリスクが高いと言えます。
頭痛や眼精疲労との関連性
皺眉筋のこわばりは顔だけの問題にとどまらず、頭部全体の不調とリンクしています。
夕方になると目の奥が重くなる、こめかみが締め付けられるような頭痛がするといった症状は、皺眉筋の緊張が関連痛として現れているケースが多々あります。
皺眉筋の近くには三叉神経という太い神経が通っており、筋肉の圧迫によって神経が刺激されることで頭痛が引き起こされます。慢性的な頭痛持ちで、かつ眉間にシワがある方は、筋肉の緊張を解くことで頭痛も緩和する可能性があります。
状態別コリレベルと対策
| レベル | 自覚症状・状態 | 推奨される対応 |
|---|---|---|
| 軽度 | 眉頭をつまんでも痛みはないが、少し硬さを感じる。表情を戻せばシワは消える | 日常の保湿ケアと意識的なリラックス。スマホ時間の短縮 |
| 中度 | つまむと痛みを感じる。眉頭が少し盛り上がっている。夕方にシワが目立つ | 毎日のマッサージ習慣の導入。温熱ケアで血流促進 |
| 重度 | 硬くてつまめない、または激痛がある。真顔でも深い溝が刻まれている | 徹底的な生活改善に加え、専門的な施術の検討も視野に入れる |
自宅でできる皺眉筋ほぐしとリラックス法
硬直した皺眉筋を柔軟な状態に戻すためには、物理的に筋肉へアプローチするマッサージとストレッチが有効です。
ただし、皮膚を強く擦ることは色素沈着やさらなるたるみの原因となるため、正しい方法で「筋肉」に働きかけることが重要です。入浴後など、血行が良くなっているタイミングで行うのが効果的です。
ピンポイントで捉える「つまみほぐし」
最も直接的で効果の高い方法は、皺眉筋を指で挟んでほぐすアプローチです。親指と人差し指で眉頭の肉厚な部分をしっかりと深くまでつまみます。表面の皮膚をつまむのではなく、骨の上にある筋肉の塊を捉えるイメージです。
つまんだ状態で小さく円を描くようにクルクルと回したり、上下左右に揺すったりします。最初は痛みを伴うかもしれませんが、息を吐きながら痛気持ちいい程度の強さで30秒ほど続けます。
徐々に眉頭から眉尻に向かってつまむ位置をずらしていきますが、特に硬さを感じる眉頭部分を重点的に行います。これにより、癒着した筋膜がリリースされ、血流が一気に改善します。
額と頭皮からのアプローチ
皺眉筋だけをほぐしても、それをつり上げている前頭筋(おでこの筋肉)や側頭筋(頭の横の筋肉)が固まっていては効果が半減します。
手を「グー」の形にし、第二関節の平らな部分をおでこ全体に当てます。皮膚を擦らないよう、骨を感じながら圧をかけ、小さな円を描くように生え際に向かってマッサージします。特に眉毛のすぐ上部分は念入りに行います。
また、側頭部はストレスによる食いしばりの影響を受けやすいため、ここをほぐすことで顔全体のリフトアップ効果も期待できます。耳の上あたりに掌の付け根を当て、頭蓋骨を挟み込むように圧をかけながら後ろ回しに円を描きます。
頭皮が柔軟になると、眉毛の位置が自然と上がり、眉間への圧力が軽減されます。
温熱リラックスケア
物理的な刺激だけでなく、温めることで筋肉の緊張を解くことも大切です。ホットタオルや市販の目元用温熱シートを活用し、目元から眉間全体を温めます。
温めることで血管が拡張し、溜まった老廃物が流れやすくなります。温めた直後に前述のマッサージを行うと、筋肉がほぐれやすく、痛みも軽減されます。
また、一日の終わりに「今日も一日お疲れ様」と心の中でつぶやきながら、意識的に眉間の力を抜く時間を設けることも、脳にリラックスを学習させる上で有効です。
マッサージを行う際の注意点リスト
- 必ずマッサージクリームやオイルを使用し、摩擦による肌ダメージを防ぐ
- 爪を立てず、指の腹や関節の面を使って圧をかける
- 「痛ければ痛いほど効く」は間違い。痛気持ちいい強さを守る
- 皮膚に赤みが出やすい人は、短時間で済ませるか回数を減らす
- 首や肩のストレッチも合わせて行い、全身の血流を良くしてから行う
再発を防ぐための生活習慣の改善ポイント
マッサージで一時的にこわばりを解消しても、原因となる生活習慣が変わらなければ、皺眉筋はすぐにまた硬くなってしまいます。
無意識の「表情癖」を修正し、筋肉に負担をかけない環境を整えることが、シワのない滑らかな眉間を維持するために必要です。
視覚環境の最適化と見直し
「見えにくい」というストレスを取り除くことが最優先事項です。もし長期間視力検査を受けていない場合は眼科で正確な視力を測定し、現在の視力に合った眼鏡やコンタクトレンズを作成してください。
特にデスクワークが中心の方は、手元やモニター距離に焦点を合わせた度数調整を行うことで、目の負担は劇的に軽減します。
また、スマートフォンのフォントサイズを大きめに設定する、画面の明るさを調整して眩しさを抑えるといった工夫も有効です。
屋外では紫外線対策を兼ねてサングラスを着用し、眩しさによる眉間の収縮を物理的に防ぐ習慣をつけましょう。
「無表情」の質を高める意識改革
日中、ふとした瞬間に自分の顔がどのような状態にあるか、モニタリングする癖をつけましょう。パソコン作業中や家事の最中など、集中しているときこそ眉間に力が入りがちです。
視界の端に小さな鏡を置いておき、時折自分の表情を確認するのも良い方法です。眉間に力が入っていると気づいたら、一度大きく目を見開き、息を吐きながら顔全体の力をダラリと抜く「顔の脱力体操」を行います。
また、舌の位置も重要です。舌先が上の前歯の裏側(スポット)についている状態が理想的で、舌が正しい位置にあると食いしばりが起きにくく、顔の筋肉のバランスが整いやすくなります。
睡眠の質と寝具の調整
寝ている間の表情癖は自分ではコントロールできないため、リラックスして眠れる環境作りが重要です。
枕の高さが合っていないと、首や顔の筋肉に不自然な力がかかり、シワの原因となります。首のカーブにフィットし、気道を確保できる枕を選ぶことで、食いしばりや顔の歪みを防げます。
また、就寝前のスマートフォンの使用は脳を覚醒させ、交感神経を優位にしてしまうため、筋肉の緊張が解けません。就寝1時間前からはデジタルデトックスを行い、副交感神経を優位にして深い睡眠をとることで成長ホルモンの分泌を促し、皮膚や筋肉の修復機能を高めましょう。
生活シーン別・改善アクション
| シーン | よくあるNG習慣 | 改善アクション |
|---|---|---|
| デスクワーク中 | モニターに顔を近づけ、眉間にシワを寄せながら凝視する | モニターを腕の長さ分離し、1時間に一度は遠くを見て目を緩める |
| 外出時 | 強い日差しの中、裸眼で目を細めて歩く | UVカット機能付きのサングラスや帽子を使用し、眩しさを遮断する |
| 就寝時 | 悩み事を考えながら、歯を食いしばって眠りにつく | 軽いストレッチやアロマでリラックスし、マウスピースの使用も検討する |
美容医療によるプロフェッショナルなアプローチ
セルフケアや生活習慣の改善だけでは追いつかないほど深く刻まれてしまったシワや、強固に固まった皺眉筋に対しては、美容医療の力を借りることも選択肢の一つです。
医療機関では解剖学的な根拠に基づき、筋肉の働きをコントロールしたり、皮膚の凹みを物理的に修復したりする治療が可能です。ここでは代表的なアプローチについて解説します。
ボツリヌス療法による筋肉の緩和
皺眉筋のこわばりに対して最も一般的かつ効果的とされるのが、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質を有効成分とする製剤を注入する治療法です。この製剤には神経から筋肉への指令伝達をブロックする作用があります。
過剰に収縮している皺眉筋にピンポイントで注入することで、筋肉の働きを一時的に弱め、強制的にリラックスした状態を作ります。筋肉が動かなくなることで、皮膚が折り畳まれることがなくなり、徐々にシワが薄くなっていきます。
効果は数ヶ月程度持続し、定期的に行うことで筋肉そのものが萎縮し、シワができにくい状態へと変化していきます。
「表情が固まるのでは?」という不安を持つ方もいますが、適切な量を適切な位置に注入すれば、自然な表情を保つことができます。
ヒアルロン酸注入による溝の修復
筋肉の動きを止めても、すでに皮膚に深く刻まれてしまった「折り目」が消えない場合があります。これは真皮層の組織が断裂や萎縮を起こしている状態です。
このような場合には、皮膚の下からヒアルロン酸などのフィラー(充填剤)を注入し、凹んだ部分を物理的に持ち上げる治療が行われます。内側からふっくらとボリュームを出すことで影を消し、平らな表面を取り戻します。即効性が高く、施術直後から変化を実感できるのが特徴です。
ボツリヌス療法と併用することで、これ以上シワが深くならないように予防しつつ、既存のシワを目立たなくさせるという相乗効果が期待できます。
肌質改善を目指すアプローチ
筋肉やボリュームへの対処に加え、皮膚そのもののハリや弾力を取り戻す治療も重要です。レーザー治療や高周波(RF)治療、あるいはコラーゲン生成を促す薬剤の注入などがあります。
これらは肌の代謝を活性化させ、真皮層のコラーゲン密度を高めることで折れにくい、厚みと弾力のある肌質へと導きます。
特に初期の細かいシワや、皮膚の薄さが原因でシワになりやすい方には、こうした肌育治療が長期的な予防策として有効です。
主な美容医療アプローチの比較
| 治療法 | 主な目的・作用 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| ボツリヌス療法 | 皺眉筋の過剰な収縮を抑制し、緊張を解く | 表情を作った時にできるシワを止め、将来の深いシワを予防する |
| ヒアルロン酸注入 | 皮膚の凹みを内側から持ち上げ、ボリュームを補う | 無表情の時でも残っている深い溝(静的シワ)を目立たなくする |
| 肌質改善治療 | コラーゲン生成を促進し、皮膚の密度を高める | 肌にハリを出し、折れ癖がつきにくい丈夫な肌を作る |
よくある質問
- 表情筋トレーニングで逆にシワが増えることはありますか?
-
はい、誤ったトレーニングを行うとシワが悪化するリスクがあります。
特に皺眉筋は「緩める」ことが目的であるべき筋肉です。自己流で力を入れて動かすようなトレーニングを行うと筋肉がさらに発達して肥大化し、シワを深くしてしまう可能性があります。
鍛えるのではなく、ストレッチやマッサージで「ほぐす」ことに重点を置いてください。
- マッサージはどのくらいの頻度で行うのが良いですか?
-
毎日行うのが理想的です。筋肉の緊張は日々の生活の中で蓄積されていくため、その日の疲れはその日のうちにリセットすることが大切です。
入浴中やスキンケアの際など、時間を決めてルーティン化すると継続しやすくなります。ただし、皮膚に赤みが出たり痛みを感じたりする場合は、頻度を落とすか、圧を弱めてください。
- 眉間のシワ取りテープは効果がありますか?
-
就寝中に無意識に眉を寄せてしまうのを物理的に防ぐという意味では、一定の効果が期待できます。テープで皮膚を固定することで、寝ている間のシワの定着を防ぐことができます。
しかし、テープの粘着剤による肌荒れや、剥がす際の皮膚への負担には注意が必要です。肌が弱い方は短時間の使用から始めることをお勧めします。
- 一度できてしまった深いシワはセルフケアで完全に消えますか?
-
正直に申し上げますと、真皮層まで達してしまった深い溝(真顔でもくっきりと残るレベルのシワ)を、セルフケアだけで完全に消し去ることは非常に困難です。
セルフケアの主目的は筋肉を柔軟にしてシワを薄くすること、そしてこれ以上深くしないための予防です。完全にフラットな状態を目指す場合は、美容医療との併用を検討することをお勧めします。
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