咬筋(こうきん)の肥大とエラ張り・顔の広がり|食いしばりが招く輪郭の崩れ

咬筋(こうきん)の肥大とエラ張り・顔の広がり|食いしばりが招く輪郭の崩れ

毎日の無意識な食いしばりがあなたの顔を大きく見せ、エイジングサインを加速させている事実をご存知でしょうか。

鏡を見たときに「昔より顔が四角くなった」「エラが張ってきた」と感じる場合、それは骨格ではなく筋肉の肥大が主な要因です。

本記事では咬筋が発達する原因から、それが引き起こす顔の広がりやたるみとの関係、そして自宅でできるケアや専門的なアプローチまでを詳しく解説します。

正しい知識を持って対策を行うことで、すっきりとした本来の輪郭を取り戻す第一歩となります。

目次

咬筋肥大の正体とは筋肉の発達による後天的な顔の変形です

咬筋の肥大とは食事や会話で使う「咀嚼筋(そしゃくきん)」の一つである咬筋が、過度な運動によって厚みを増し、外見上の輪郭を大きく変化させる現象を指します。

多くの人が「エラ張り」を生まれつきの骨格の問題だと捉えて諦めていますが、実際には生活習慣によって筋肉が発達しすぎているケースが大半を占めます。

腕や脚の筋肉がトレーニングによって太くなるのと同様に、顔の筋肉も過度な負荷がかかり続けることで繊維が太くなり、結果として顔の横幅が広がり、下膨れのような印象を与えてしまいます。

この筋肉の状態を正しく理解することが、小顔を目指すためのスタートラインです。

咀嚼筋の中で最も力が強い咬筋の役割と構造

咬筋は頬骨の弓状の部分から下顎の角(エラの部分)にかけて走行している非常に強力な筋肉です。私たちが食事をする際、硬いものを噛み砕くために働く主力となる筋肉であり、体重ほどもある強い力を発揮します。

この筋肉は日常生活を送る上で必要不可欠な存在ですが、必要以上に酷使するとその厚みは増していきます。解剖学的に見ても咬筋は皮膚のすぐ下に位置しているため、この筋肉が厚くなるとダイレクトに顔の輪郭に影響を及ぼします。

特に下顎角(エラ)付近で筋肉が盛り上がると正面から見たときに顔のラインが外側に膨らんで見え、四角いベース型の輪郭を形成する要因となります。

骨格によるエラ張りと筋肉によるエラ張りの決定的な違い

輪郭の悩みを解決するためには自分のエラ張りが「骨」によるものか、「筋肉」によるものかを見極める必要があります。

骨格そのものが外側に張り出している場合は骨を削るなどの外科的な処置が必要になりますが、筋肉が原因であれば、筋肉の緊張を解いたり萎縮させたりすることで劇的な変化が期待できます。

筋肉によるエラ張りの特徴は日によって張りの強さが変わったり、疲労感や重だるさを伴ったりすることです。

また、グッと奥歯を噛み締めたときにエラの部分がボコッと硬く盛り上がる動きが見られる場合は、咬筋肥大の可能性が極めて高いといえます。

放置することで進行する顔の巨大化と左右差

咬筋の肥大を単なる「顔の形」の問題として放置すると、事態は徐々に悪化します。筋肉は使い続ける限り成長を続けるため、食いしばりなどの習慣が改善されない限り、顔の横幅は年々広がり続けます。

さらに問題なのは左右のバランスの崩れです。多くの人は噛み癖や食いしばりの強さに左右差があります。片側の咬筋だけが過剰に発達すると、口角の高さがチグハグになったり、顔の中心線がズレて見えたりする原因となります。

顔の歪みは写真写りを悪くするだけでなく、顎関節への負担も増大させるため、美容と健康の両面から早期の対応が必要です。

骨格要因と筋肉要因の特徴比較

比較項目骨格によるエラ張り筋肉(咬筋)によるエラ張り
触れた感触非常に硬く、ゴツゴツしている弾力があり、噛むと硬く膨らむ
日内変動朝晩で変化はない朝起きると疲れていたり張っている
解決のアプローチ骨削りなどの外科手術ボトックス注射や生活習慣の改善

無意識の食いしばりが咬筋を育ててしまう最大の要因です

咬筋が肥大する原因のほとんどは日中の無意識な「TCH(歯列接触癖)」や睡眠中の歯ぎしりといった、必要のない時に歯を合わせ続ける悪習癖にあります。

本来、人間の上下の歯が接触するのは食事や嚥下の瞬間のみで、1日の合計接触時間はわずか20分程度が正常とされています。

しかし、現代人の多くはパソコン作業やスマホ操作、精神的なストレスにより、長時間にわたって弱い力で噛み締め続けています。この持続的な負荷こそがジムで筋トレをしているかのように咬筋を肥大させ、顔を大きく成長させてしまうのです。

ストレス社会と切っても切れない歯ぎしりの関係

精神的な緊張やストレスは脳の興奮状態を作り出し、睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを誘発します。睡眠中の歯ぎしりは日中の意識的な噛み締めとは異なり、脳のリミッターが外れた状態で体重の数倍もの力が顎にかかると言われています。

この強烈な負荷は歯を摩耗させるだけでなく、咬筋に著しいダメージと成長刺激を与えます。朝起きたときに顎が疲れている、首や肩が凝っていると感じる場合、夜間に相当な強度のトレーニングを咬筋に行わせてしまっていることになります。

ストレスを完全になくすことは困難ですが、その影響が顔の筋肉に出ていることを自覚し、リラックスする時間を設けることが重要です。

スマートフォンやパソコン作業時の姿勢と食いしばり

画面に集中しているときの姿勢も咬筋の状態に大きく関与します。うつむき加減で頭が前に出た姿勢(ストレートネック気味の姿勢)をとると下顎が奥に押し込まれやすくなり、自然と奥歯が接触しやすい状態になります。

集中しているとき、人は無意識に奥歯を噛み締めてバランスを取ろうとします。デスクワーク中にふと気づくと上下の歯が触れ合っていたり、舌が上顎に付かずに落ち込んでいたりする場合、その時間はすべて咬筋を鍛える時間になってしまっています。

正しい姿勢を保つことは、首や肩だけでなく、小顔を保つためにも大切な要素です。

硬い食品の過剰摂取やガムを噛む習慣のリスク

「硬いものを噛むことは健康に良い」と一般的に言われますが、咬筋が肥大して悩んでいる人にとっては逆効果になる場合があります。

スルメやビーフジャーキーのような硬い食品を頻繁に好んで食べたり、1日に何時間もガムを噛み続けたりする習慣は、咬筋にとって過度な筋力トレーニングとなります。筋肉は使えば使うほど発達するという生理学的原則は変わりません。

エラ張りが気になる時期は極端に硬い食品を避けたり、ガムを噛む時間を短縮したりするなど、顎の筋肉を休ませる意識を持つことも、輪郭をスッキリさせるための戦略の一つです。

生活習慣と咬筋への負荷レベル

生活習慣咬筋への負荷レベル影響の背景
睡眠中の歯ぎしり極めて大体重以上の力が数時間かかり続ける
日中の食いしばり(TCH)中〜大長時間持続することで筋肉が緊張する
ガム・硬い食事頻度が高いと筋トレ効果が生じる

セルフチェックで自分のエラ張りのタイプを正しく把握します

自分の顔の大きさが脂肪によるものなのか、むくみによるものなのか、それとも咬筋の肥大によるものなのかを正確に把握することが、適切な対策への第一歩です。

特別な器具を使わなくても、鏡と自分の手があれば簡単に咬筋の状態を確認することができます。以下の手順で触診を行うことで、現在の筋肉の発達具合や左右差を知ることができます。

もし、筋肉の盛り上がりが顕著であれば、ダイエットで体重を落とすよりも咬筋へのアプローチを行う方が、顔痩せ効果を実感できる可能性が高いです。

  • 鏡の前で正面を向き、リラックスした状態で両手のひらを耳の下、エラの部分に当ててください
  • そのまま奥歯をグッと強く噛み締めてください
  • このとき、手のひらの下で筋肉が「ボコッ」と大きく膨らみ、硬くなる感触を確認してください
  • 力を抜いたときと入れたときの落差が大きいほど咬筋が発達し肥大している証拠です

触診でわかる筋肉の硬さと厚みの確認方法

上記のチェックリストに加えて、筋肉の質も確認してみましょう。力を抜いている状態でもエラの部分がカチカチに硬い場合、それは「筋肉のコリ」が慢性化している状態です。

筋肉は本来、力を抜いているときは柔らかいものですが、常に緊張状態にあると拘縮し、血流が悪くなってさらに硬くなります。

指の腹でエラ周りを押したときに痛みを感じたり、ゴリゴリとしたしこりのようなものを感じたりする場合は疲労物質が溜まっているサインです。

この状態を放置すると、さらにエラが張り出して見えるだけでなく顔全体の血色も悪くなり、老廃物が蓄積しやすい状態になってしまいます。

朝起きたときの顎の疲労感と症状の関連性

朝起きた瞬間の感覚は夜間の咬筋の状態を教えてくれる重要なバロメーターです。起床時に顎がだるい、口が開きにくい、こめかみが痛いといった症状がある場合、寝ている間に激しい歯ぎしりや食いしばりを行っていた可能性が高いです。

また、舌の側面に歯型がついている場合も要注意です。これは舌を歯に押し付けるほど口の中に圧力がかかっていた証拠であり、同時に咬筋にも強い力がかかっていたことを示唆しています。

朝の顔が大きく見える、むくんでいると感じる場合、それは水分の問題だけでなく、筋肉の炎症やパンプアップ(一時的な膨張)が原因であることも多いのです。

写真で見る過去と現在の輪郭の変化の比較

客観的に咬筋肥大の進行を確認するには、数年前の写真と現在の写真を比較することが有効です。

体重は変わっていないのに、昔に比べて顔が四角くなった、ホームベース型に近づいたと感じるなら、それは加齢による骨格の変化ではなく、咬筋の発達によるものである可能性が高いです。

特に、若い頃はシュッとした卵型だった輪郭が、年齢とともに横に広がってきたというケースは、長年の食いしばりの蓄積による典型的な咬筋肥大のパターンです。

変化に気づくことはショックかもしれませんが、原因が筋肉であれば、適切なケアで元のラインに近づけることが十分に可能です。

咬筋の肥大は顔のたるみやシワを加速させる原因になります

咬筋の肥大がもたらす弊害は単に顔が横に大きく見えることだけにとどまりません。筋肉の過度な発達は顔全体のバランスを崩し、皮膚を不自然に引っ張ることで、深刻なたるみやシワを引き起こす原因となります。

顔の皮膚や脂肪は骨と筋肉によって支えられています。咬筋が異常に発達して厚みを増すと、その上の皮膚が外側に押し出されます。

一方で、加齢とともに皮膚の弾力は低下するため、押し出された皮膚は重力に耐えきれず、下方向へと垂れ下がります。これが、エラ張り特有の重たいたるみを生み出し、実年齢よりも老けて見える要因となります。

筋肉の緊張が引き起こすほうれい線の深化

ほうれい線は頬のたるみによって深くなりますが、咬筋の短縮(縮こまり)も大きく関与しています。

咬筋が常に緊張して縮んでいると頬の皮膚や筋肉が外側・下側へと引っ張られます。すると、口周りの筋肉との境界線に溝ができやすくなり、ほうれい線がくっきりと刻まれてしまいます。

また、咬筋が硬くなると顔全体のリンパの流れが滞り、頬に老廃物や水分が溜まって重くなります。この重みがさらにほうれい線を深くし、夕方になると顔がドッと老け込む原因となります。

咬筋をほぐすことはエラを小さくするだけでなく、ほうれい線予防にも繋がるのです。

皮膚の弾力低下と筋肉の盛り上がりが作る段差

若いうちは皮膚にハリがあるため、多少筋肉が発達しても皮膚がパンと張って目立ちにくいのですが、年齢とともにコラーゲンやエラスチンが減少すると状況は変わります。

薄く弱くなった皮膚の下で筋肉だけが隆起していると、その境界に段差や影が生まれやすくなります。特に口角の横から顎にかけてのマリオネットラインは咬筋の張り出しと関連が深いです。エラが外に張ることで口元の皮膚が余ったようになり、それがシワとなって現れます。

筋肉のボリュームを適正に戻すことは、内側から皮膚をフラットにし、不要な影を消すために有効です。

顔の下半身が重くなるブルドッグ顔への進行

顔の重心が下がって見える「ブルドッグ顔」は、咬筋肥大とたるみの複合的な結果です。咬筋が発達すると、顔の最大幅の部分が目元から口元・エラ付近へと下がってきます。

視覚的な重心が下がることで、顔全体が間延びし、もっさりとした印象を与えてしまいます。さらに、食いしばりによって広頚筋(首の筋肉)も引っ張られ、フェイスラインがぼやけて二重顎になりやすくなります。

シャープなVラインを失い、首と顔の境目が曖昧になるこの現象を食い止めるには、皮膚のケアだけでなく、土台となっている筋肉の過剰な盛り上がりを抑えることが重要です。

顔の部位別・咬筋肥大が及ぼすエイジング影響

影響部位起こりうる現象メカニズム
ほうれい線溝が深く長くなる硬くなった筋肉が頬の肉を外へ引っ張る
フェイスライン輪郭がぼやける筋肉の盛り上がりで皮膚がたるみ下がる
口角周辺マリオネットラインエラ張りにより口元の皮膚が余り、段差ができる

自宅でできるセルフケアで咬筋の緊張を緩和します

美容クリニックに行く前に、まずは日々のセルフケアで咬筋の緊張を解きほぐすことが大切です。凝り固まった筋肉をマッサージやストレッチで緩めることで血流が改善し、むくみが取れるだけでも顔の印象はスッキリと変化します。

ただし、自己流の強すぎるマッサージは逆効果になることもあるため注意が必要です。皮膚を強く擦ると色素沈着や新たなたるみの原因となり、筋肉を強く押しすぎると防御反応でさらに硬くなることもあります。

「痛気持ちいい」範囲を守り、毎日コツコツと継続することが、頑固な咬筋を柔らかくする近道です。

正しい咬筋マッサージの方法と力加減のポイント

咬筋マッサージの基本は筋肉の走行に沿って優しくほぐすことです。

まず、手を軽く握り、指の第二関節の平らな部分をエラの噛み締めると膨らむ部分に当てます。そして、皮膚を擦るのではなく、奥にある筋肉を捉えて、小さな円を描くようにクルクルと回します。

また、口を軽く開けた状態で、頬骨の下からエラに向かって、上から下へと指を滑らせて筋肉を流すのも効果的です。このとき、必ずクリームやオイルを塗布し、摩擦を最小限に抑えてください。

お風呂上がりなど、体が温まって筋肉が緩んでいるタイミングで行うと、より高い効果が期待できます。

表情筋全体を緩めるリラクゼーションエクササイズ

咬筋だけでなく、繋がっている側頭筋(こめかみの筋肉)や首の筋肉も同時にケアすることで、リフトアップ効果が高まります。

側頭筋が硬いと顔全体が引き上がりにくいため、指の腹で頭皮を動かすようにこめかみをマッサージしましょう。また、「あ・い・う・え・お」と大きく口を動かす表情筋トレーニングも有効ですが、咬筋が発達しすぎている場合は、逆に筋肉を疲れさせてしまうことがあります。

まずは「脱力」を優先し、口をポカンと開けて顎を左右にゆらゆらと動かす運動や、舌回し運動を取り入れて、顎周りの緊張をリセットすることから始めましょう。

継続することで得られるフェイスラインの変化

筋肉の質が変わるまでには、通常2〜3ヶ月程度の期間が必要です。1回や2回のマッサージで劇的にエラがなくなるわけではありませんが、毎日続けることで筋肉の過緊張が取れ、朝起きたときの顔のむくみが軽減されていきます。

継続のコツは、スキンケアの流れに組み込んでしまうことです。化粧水を塗るついでに咬筋をほぐす、シャンプーのついでに側頭筋をほぐすなど、生活の一部にすることで、無理なくケアを続けることができます。

徐々にエラの張りが柔らかくなり、触ったときのボリューム感が減ってくるのを実感できるはずです。

セルフケアの実施方法と注意点

ケアの種類実施頻度とタイミング注意点とコツ
咬筋ほぐし毎日(入浴後やスキンケア時)摩擦を避け、強すぎない圧で行う
側頭筋マッサージ毎日(洗髪時や仕事の合間)頭皮を動かすイメージで引き上げる
リラックス体操気づいた時にいつでも顎の力を抜き、上下の歯を離す意識を持つ

美容医療によるアプローチは筋肉の動きを抑制します

セルフケアだけでは改善が難しいほど咬筋が肥大している場合や、短期間で確実な効果を求める場合は、美容医療の力を借りるのが賢明な選択です。医療的なアプローチの基本は、筋肉の働きを物理的・化学的に弱め、強制的に筋肉を休ませることにあります。

現代の美容医療では、メスを使わずに注射一本で治療する方法が主流となっており、ダウンタイムもほとんどなく、日常生活に支障をきたすことなく治療を受けることが可能です。

ここでは、一般的に行われている代表的な治療法について、その概要と目的を解説します。

ボツリヌストキシン製剤を用いた治療の原理

咬筋肥大に対する最も一般的で効果的な治療法は、ボツリヌス菌から抽出されたタンパク質(ボツリヌストキシン)を筋肉に直接注入する方法です。この薬剤には神経から筋肉への「動け」という指令を遮断する作用があります。

注射を打つと数日後から咬筋の収縮力が弱まり、強く噛み締めることができなくなります。強制的に筋肉を使わない状態(廃用性萎縮)を作り出すことで徐々に筋肉が細くなり、結果としてエラの張りが解消され小顔になります。

効果は永続的ではありませんが、定期的に繰り返すことで筋肉が戻りにくい状態を作ることができます。

マウスピースによる歯への負担軽減と筋肉の保護

歯科医院で作成するナイトガード(マウスピース)も、咬筋肥大対策として有効です。これは直接的に顔を小さくするものではありませんが、睡眠中の歯ぎしりによる強烈な負荷から歯と顎を守る役割を果たします。

マウスピースを装着することで顎の位置が安定し、筋肉にかかる負担が分散されます。また、噛み締めたときの筋肉の最大収縮を抑制する効果も期待でき、新たな筋肉の発達を防ぐための予防策として非常に重要です。

ボトックス治療と併用することで、より高い効果を持続させることができます。

美容医療機器を用いた筋肉へのアプローチ

注射に抵抗がある方には、HIFU(ハイフ)などの照射系治療や、特殊な電気刺激を与えるEMS機器なども選択肢に入ります。

これらは筋肉そのものを萎縮させる効果はボツリヌス治療に劣りますが、筋肉の上にある脂肪層を引き締めたり、筋肉のコリをほぐしたりする効果があります。

特に筋肉の肥大とたるみが併発している場合、筋肉を小さくするだけでは皮膚が余ってしまうことがあります。そのような場合、皮膚や筋膜を引き締める機器治療を組み合わせることで、よりシャープで若々しい輪郭を目指すことができます。

一般的な医療アプローチの比較

治療法期待される主な効果ダウンタイム
ボツリヌス注射筋肉の縮小・小顔効果ほぼ無し(稀に内出血)
マウスピース歯の保護・進行予防無し(装着の違和感のみ)
HIFU(ハイフ)皮膚・筋膜の引き締め軽度の赤みや腫れ

日々の習慣を見直して美しい輪郭を維持します

一度小さくした咬筋を再び肥大させないためには、根本原因である生活習慣の改善が大切です。無意識の癖を修正し、筋肉に負担をかけない生活を送ることで、スッキリとしたフェイスラインを長くキープすることができます。

特に重要なのは、「歯を接触させない」という意識を持つことです。これをTCH是正といいます。

日常生活の中で、唇は閉じていても、上下の歯は数ミリ離れているのが正常なリラックス状態です。この「安静空隙」を常に保つことを意識するだけで、咬筋への負担はゼロに近づきます。

  • パソコンの画面端やキッチンの壁など、目につく場所に「歯を離す」「力を抜く」と書いた付箋を貼り、視覚的にリマインドする環境を作る。
  • 舌の先端を上の前歯の裏側の歯茎(スポットと呼ばれる位置)に軽く触れるように置く。舌が正しい位置にあると、構造上食いしばることが難しくなる。
  • 仕事中や家事の合間に大きく深呼吸をして肩の力を抜く時間を意図的に作る。体の脱力は顔の脱力に繋る。
  • 寝る姿勢にも注意が必要。高い枕やうつ伏せ寝は顎に負担をかけるため、仰向けで寝やすい高さの枕を選ぶ。

舌の正しい位置と呼吸法の重要性

舌の位置は顔の輪郭形成に大きな影響を与えます。舌全体が上顎にべったりと吸い付いている状態が理想的であり、これができていると内側から顔を支える力が働き、頬のたるみ予防にもなります。

逆に舌が下がっていると、食いしばりやすくなるだけでなく、口呼吸になりやすく、顔の筋肉バランスが崩れます。

鼻呼吸を意識し、舌を正しい位置にキープすることは、天然の小顔矯正装置をつけているようなものです。最初は疲れるかもしれませんが、習慣化することで無駄な食いしばりが減り、顎周りのラインがシャープに整っていきます。

ストレスマネジメントと睡眠環境の改善

咬筋肥大の根底にあるストレスをコントロールすることも、美容の一環です。お風呂にゆっくり浸かる、アロマを焚く、軽い運動をするなど自分なりのストレス解消法を持つことが、結果として夜間の歯ぎしりを減らすことに繋がります。

また、質の良い睡眠は筋肉の修復を助けます。寝る直前までのスマホ操作は脳を興奮させ、睡眠中の食いしばりを助長するため控えましょう。

リラックスした状態で眠りにつくことは、翌朝のスッキリとした顔を作るための最高の美容液となります。

よくある質問

咬筋のマッサージは痛いくらい強くやってもいいですか?

いいえ、痛みを感じるほどの強いマッサージは避けてください。筋肉の繊維を傷つけたり、皮膚を擦りすぎて色素沈着やたるみの原因になったりする恐れがあります。

「痛気持ちいい」と感じる程度、または優しく筋肉を揺らす程度の力加減でも十分にほぐす効果は得られます。

ボトックス注射を打つと顔がたるむと聞いたのですが本当ですか?

筋肉が急激に小さくなることでその上を覆っていた皮膚が余り、一時的にたるみを感じるケースは稀にあります。特に元々の皮膚の弾力が低下している年代の方や、咬筋が極端に大きかった方に起こりやすい現象です。

ただし、適切な量を適切な位置に注入することでリスクは最小限に抑えられますし、必要に応じてたるみ治療を併用することで回避できます。

一度小さくなったエラは、また元に戻ってしまいますか?

食いしばりや歯ぎしりの習慣が改善されていない場合、時間の経過とともに筋肉が再び発達し、元に戻る可能性があります。

これを防ぐためには定期的なメンテナンス治療を行うか、マウスピースの使用やTCH(歯列接触癖)の改善など、生活習慣の見直しを並行して行うことが大切です。

自分が咬筋肥大なのか、ただ太っただけなのか見分ける方法は?

エラの部分に手を当てて、奥歯を強く噛み締めてみてください。その時に筋肉が硬く盛り上がり、指を押し返すような強い動きがあれば咬筋肥大の要素が強いです。

一方で、噛み締めても形があまり変わらず、つまめる柔らかい肉が多い場合は皮下脂肪の蓄積が主な原因と考えられます。両方が混在しているケースも多くあります。

硬いものを食べない方が小顔になれますか?

咬筋が過剰に発達している時期に関しては、スルメやビーフジャーキー、硬いおせんべいなどの極端に硬い食品や、長時間ガムを噛むことは控えた方が筋肉は休まります。

ただし、通常の食事で噛むことを制限する必要はありません。咀嚼は消化や脳の活性化に必要ですので、極端な制限ではなく「不要な筋トレになるような食べ方」を避ける意識で十分です。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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