ブルーライトと近赤外線の肌への影響|紫外線だけではない「第3の光老化」リスク

ブルーライトと近赤外線の肌への影響|紫外線だけではない「第3の光老化」リスク

紫外線対策を行っていても肌のたるみや深いくすみ、シワが進行する場合、その原因は「第3の光老化」と呼ばれるブルーライトや近赤外線の影響である可能性が高いです。

これらは紫外線よりも波長が長く、肌の奥深くにある真皮層や皮下組織、さらには筋肉層にまで到達し、コラーゲンやエラスチンを変性させ、細胞レベルでの損傷を引き起こします。

本記事では、光老化の新たな脅威であるこれら2つの光線の正体と、それらが肌構造に与える具体的なダメージの様相、そして科学的根拠に基づいた有効な防御策について、たるみ・シワの悩みを抱える方へ向けて徹底的に解説します。

目次

光の波長と肌への浸透深度の違い|紫外線・ブルーライト・近赤外線の基礎知識

太陽光に含まれる光線の中で紫外線よりもさらに波長が長く、肌の深部へ到達する性質を持つのがブルーライトと近赤外線であり、これらは従来の紫外線ケアだけでは防ぎきれないエイジングリスクを持っています。

私たちが普段浴びている光は、波長の長さによって肌への侵入深さが異なります。紫外線(UV-A、UV-B)は表皮から真皮上層に作用するのに対し、ブルーライト(可視光線の一部)は真皮層全域へ、そして近赤外線はさらに奥の皮下組織や筋膜(SMAS)にまで到達します。

この「到達深度の違い」こそが、表面的な日焼け止めだけでは肌老化を食い止められない理由です。

太陽光スペクトルにおける各光線の位置づけ

太陽から降り注ぐ光エネルギーの約5割は近赤外線が占めており、紫外線はわずか1割にも満たない量ですが、エネルギーの質が異なります。

紫外線は短時間で急激な炎症(サンバーン)を起こすほどエネルギーが強い一方、近赤外線やブルーライトはエネルギー自体は紫外線より弱いものの、透過性が極めて高いという特徴があります。

透過性が高いということは、肌表面で遮断されにくく、知らぬ間に肌の土台部分に蓄積的なダメージを与え続けることを意味します。この特性を理解することが、エイジングケアの第一歩となります。

光線の種類と波長範囲の比較

光線の種類波長範囲(nm)主な肌への到達地点
紫外線B波(UV-B)280 – 315表皮層
紫外線A波(UV-A)315 – 400真皮層上部
ブルーライト(HEV)400 – 500真皮層全域
近赤外線(NIR)760 – 1400以上皮下組織・筋膜・筋肉

第3の光老化と呼ばれる理由

長年にわたり光老化の主犯は紫外線だと考えられてきましたが、近年の研究により可視光線や赤外線領域も肌老化に関与することが明らかになりました。これを「第3の光老化」と呼びます。

紫外線による光老化がシミや表面的な浅いシワを主症状とするのに対し、第3の光老化は肌の形状を支える深部組織に影響を与えるため、深刻なたるみや深いシワ、肌全体の黄色いくすみ(黄ぐすみ)を引き起こす要因となります。

日焼け止めを塗っているのに肌が老化すると感じる場合、この第3の領域への対策が抜け落ちている可能性を疑う必要があります。

ブルーライトと近赤外線の物理的特性

ブルーライトは可視光線の中で最もエネルギーが強く、散乱しやすい性質を持っており、これが空が青く見える理由でもありますが、肌内部でも同様に散乱し酸化ストレスを発生させます。

一方、近赤外線は熱作用を持ちます。こたつや赤外線ヒーターが体の芯まで温まるのと同様に、近赤外線は肌の内部温度を上昇させます。

適度な量であれば血行促進などの恩恵がありますが、過剰な曝露はタンパク質の熱変性を招きます。この「酸化」と「熱」という異なるアプローチで肌を蝕む点が、紫外線とは異なる厄介な点です。

真皮層および皮下組織へのダメージ蓄積とたるみ発生の因果関係

肌の弾力を司る真皮層および土台となる皮下組織・筋肉層が、ブルーライトと近赤外線の直接的なターゲットとなることで、重力に抗えなくなり「たるみ」が発生します。

紫外線は主に表皮のメラノサイトを刺激したり、真皮上層のコラーゲンを破壊したりしますが、波長の長い光線はさらに奥へと侵攻します。特に近赤外線は肌を支える柱とも言える皮下組織や筋膜(SMAS)にまで届き、これらをじわじわと損傷させます。

土台が崩れれば、その上にある表皮や真皮もろとも雪崩のように下垂するため、フェイスラインの崩れやほうれい線といった形状の変化として現れるのです。

マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の過剰発現

光刺激を受けると皮膚内部では防御反応として様々な酵素が活性化しますが、その中でも厄介なのがマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)と呼ばれる酵素群です。

本来は古くなった組織を分解して新陳代謝を促す役割を持っていますが、ブルーライトや近赤外線の曝露によって過剰に発現すると、健康なコラーゲンやエラスチンまで無差別に切断・分解し始めます。

特に近赤外線は、真皮深層におけるMMP-1(コラーゲン分解酵素)の活性を著しく高めることが報告されており、これが深く刻まれるシワやハリ不足の直接的な原因となります。

皮下組織と筋層への物理的影響

近赤外線の到達度は皮下脂肪層を超え、顔の表情筋にまで及びます。筋肉は熱や酸化ストレスを受けると萎縮したり、質が低下して硬くなったりします。

顔の皮膚は筋肉と密接に結びついているため、筋肉の質が低下し拘縮すると、皮膚を支える力が弱まり、全体的なたるみにつながります。

また、皮下脂肪を支える結合組織(リガメント)もダメージを受けることで脂肪の重みを支えきれなくなり、目袋の突出や頬の垂れ下がりといった加齢現象を加速させます。

長期的な曝露による肌菲薄化のリスク

ダメージが蓄積すると、真皮層が薄くなる「肌の菲薄化(ひはくか)」が進行します。厚みのあるふっくらとした真皮は光を跳ね返し、内側からの弾力を保ちますが、ブルーライトや近赤外線によって線維芽細胞が弱り、コラーゲン産生能力が低下すると、真皮はペラペラの状態になります。

薄くなった肌は弾力を失うだけでなく、外部刺激にも弱くなり、さらなる乾燥やシワを招くという悪循環に陥ります。

この菲薄化は一朝一夕に起こるものではなく、毎日の微細なダメージの積み重ねによって数年、数十年単位で進行していきます。

ブルーライトが引き起こす酸化ストレスと頑固な色素沈着

ブルーライトは強いエネルギーを持つ可視光線であり、肌細胞内で活性酸素を大量に発生させることで、消えにくい色素沈着や肌全体のくすみを誘発します。

紫外線UV-Bが肌表面を赤く焼くのに対し、ブルーライトは赤みを出さずに肌内部で静かに「酸化」を進行させます。この酸化ストレスは細胞膜の脂質を過酸化脂質へと変化させ、細胞の機能を低下させます。

また、ブルーライトによって誘発される色素沈着は、紫外線によるものよりも色が濃く、長期間消えにくいという特徴があり、これが顔全体のトーンを暗く見せる「黄ぐすみ」や「茶ぐすみ」の主因となっています。

活性酸素種の発生と細胞機能の低下

肌細胞内にはミトコンドリアなどの器官が存在しますが、ブルーライトがこれらに到達すると、活性酸素種(ROS)が発生します。活性酸素は非常に反応性が高く、周囲のDNAやタンパク質を酸化させ、サビつかせます。

特に、ブルーライトの一種である短波長光はエネルギー準位が高く、細胞内の抗酸化防御システムを突破してダメージを与えます。

酸化した細胞は正常な代謝を行えなくなり、ターンオーバーが乱れることでメラニンの排出が滞り、古くなった角質が堆積しやすくなります。

ブルーライトによる肌トラブルの特徴一覧

  • 赤みを伴わない即時的な黒化(即時黒化)が起こる
  • 紫外線よりも深い層でメラニン生成が刺激される
  • 肌色が黄色っぽく濁る「黄ぐすみ」が発生しやすい

オプシン3受容体とメラニン生成刺激

近年の研究で、皮膚の細胞には光を感じるセンサーである「オプシン3」という受容体が存在することがわかってきました。

ブルーライトがこのオプシン3に結合するとチロシナーゼという酵素が活性化し、メラニン色素の生成工場であるメラノサイトに「メラニンを作れ」という指令が送られます。

紫外線が当たっていない室内であっても、強いブルーライトを浴び続けることでこのスイッチが入り、シミや肝斑が悪化する可能性があります。特に肝斑のある方はブルーライトの影響を受けやすいとされており、徹底した対策が必要です。

サーカディアンリズムの乱れと肌修復力の低下

ブルーライトは目から入ることで脳を覚醒させ、体内時計(サーカディアンリズム)に影響を与えますが、これは肌にとっても重大な問題です。

肌の細胞分裂や修復活動は主に夜間の睡眠中、成長ホルモンの分泌に合わせて活発化します。しかし、夜遅くまでブルーライトを浴びて体内時計が狂うと質の良い睡眠がとれず、肌の修復タイムが短縮されてしまいます。

結果として、日中に受けたダメージを回復できずに翌日に持ち越すことになり、老化スピードが加速します。肌への直接的なダメージに加え、全身の生理機能を通じた間接的なダメージも無視できません。

近赤外線による熱エネルギー作用とコラーゲン変性の実態

近赤外線は肌内部の水分や組織に吸収される際、熱エネルギーへと変換され、この熱が真皮のコラーゲン線維を破壊する「熱老化」を引き起こします。

紫外線のような化学的なDNA損傷とは異なり、近赤外線の影響は物理的な「熱」として作用します。低い温度であっても長時間にわたり熱を受け続けると、タンパク質でできているコラーゲンやエラスチンは変性し、硬く縮んだり、弾力を失ったりします。

料理で肉に火を通すと縮んで硬くなるのと似た現象が、肌の奥深くでゆっくりと進行しているとイメージしてください。

スローヒートによる慢性的な炎症反応

近赤外線による温度上昇は直ちに火傷を起こすような高温ではありませんが、通常よりもわずかに高い温度状態が続くことで、微弱炎症(マイクロインフラメーション)を持続させます。

この慢性的な炎症は炎症性サイトカインの放出を促し、周囲の組織を破壊する酵素の産生を加速させます。自覚症状がないまま肌内部で火事がくすぶり続けているような状態であり、これが数年後の深いシワやたるみとして顕在化します。

日向ぼっこをしてポカポカと温かいと感じている時、肌内部ではこの熱変性のリスクが生じているのです。

血管新生と分解酵素の活性化

熱刺激は血管拡張を引き起こしますが、過度な近赤外線作用によって異常な血管新生が促されることがあります。新しくできた未熟な血管からは炎症物質が漏れ出しやすく、これがさらに真皮の分解酵素(MMP)を活性化させます。

特にエラスチンを分解する酵素の働きが強まると、肌のゴムのような弾力が失われます。エラスチンは一度壊れると再生が非常に難しい組織であるため、近赤外線によってエラスチンを変性させないことが、たるみ予防において極めて重要です。

近赤外線による主な組織変化

対象組織主な変化現象肌への外見的影響
コラーゲン線維束の断裂・細分化肌のハリ低下・深いシワ
エラスチン変性・弾力性の喪失皮膚の垂れ下がり・たるみ
毛細血管異常な拡張・増生赤ら顔・炎症の慢性化

筋肉層への熱到達と弛緩作用

近赤外線の到達深度は筋肉にまで及ぶため、顔の筋肉(表情筋)にも熱影響を与えます。適度な温熱は筋肉をほぐしますが、過剰な熱エネルギーの蓄積は筋肉疲労や過度な弛緩を招く恐れがあります。

顔の皮膚は表情筋の上に張り付いているため、土台である筋肉が締まりをなくして緩んでしまうと、その上の皮膚も一緒に下垂します。

特に頬や顎周りの筋肉の緩みは、ブルドッグラインや二重顎の原因となり、顔の輪郭(フェイスライン)をぼやけさせる大きな要因となります。

日常生活における主要な発生源と季節・時間帯によるリスク変動

ブルーライトと近赤外線の最大の発生源は太陽光ですが、現代生活においてはスマートフォンやPCなどのデジタルデバイス、暖房器具なども無視できない発生源となっています。

太陽光に含まれる光エネルギーのうち紫外線は約10%以下ですが、近赤外線は約50%、可視光線(ブルーライト含む)は約40%を占めます。つまり、私たちは紫外線の数倍以上の量のブルーライトや近赤外線を日々浴び続けていることになります。

また、デジタルデバイスの普及により、日没後も高エネルギーの光を目や肌に浴び続けるという、人類史上かつてない環境に置かれています。

太陽光における季節変動と時間帯

紫外線は夏にピークを迎え冬には弱まりますが、近赤外線は季節による変動が比較的少なく、一年中降り注いでいます。冬場であっても、日差しの温かさを感じるのは近赤外線が届いている証拠です。

また、時間帯による変化に関しても、紫外線は正午前後が最強ですが、近赤外線は朝夕の太陽高度が低い時間帯でも、大気を通過して地上に到達しやすい性質があります。

したがって、冬だから、あるいは夕方だからといって油断していると、近赤外線による光老化のリスクを無防備に受け入れることになります。

発生源別の特徴と注意点

発生源放出される主な光線注意すべき状況
太陽光(直接光)全波長(UV、Blue、NIR)屋外活動全般、窓際
PC・スマホ画面ブルーライト(強)至近距離での長時間使用
ハロゲン・コタツ近赤外線(強)冬場の暖房器具の使用

デジタルデバイスによる「スマホ焼け」

スマートフォンやパソコンのLEDディスプレイから発せられるブルーライトは太陽光に比べると総エネルギー量は少ないものの、照射距離が極めて近いという特徴があります。

顔から数十センチの距離で長時間浴び続けることは、微弱なダメージを一点集中で積み重ねる行為に他なりません。特に、暗い部屋で明るい画面を見続ける行為は瞳孔が開いた状態で多くの光を取り込むため、目だけでなく目の周りの皮膚への影響も懸念されます。

現代特有の「スマホ焼け」や「スマホたるみ」は、こうした至近距離曝露の習慣から生じています。

屋内および窓ガラス越しのリスク

標準的な窓ガラスはUV-Bをほとんどカットしますが、UV-Aの一部と、ブルーライト、近赤外線の大部分を透過させます。

室内にいるからといって安心はできず、窓際で過ごす時間が長い場合、知らず知らずのうちに深部への光ダメージを受けています。

また、近赤外線は反射率も高く、地面や建物からの照り返しによっても肌に届きます。コンクリートやアスファルトに囲まれた都市部では上空からだけでなく、全方位からの乱反射による曝露量が増加する傾向にあります。

スキンケア化粧品による防御策と成分選定のポイント

ブルーライトや近赤外線を防ぐためには従来の紫外線吸収剤だけでは不十分であり、物理的に光を散乱させる散乱剤や、特定の波長をカットする機能を持った成分を配合した化粧品を選ぶ必要があります。

一般的な日焼け止めに表示されるSPFやPAは、それぞれUV-BとUV-Aに対する防御効果を示す指標であり、ブルーライトや近赤外線への防御能を保証するものではありません。

近年では「ブルーライトカット」「近赤外線カット」を謳う機能性コスメが登場しており、これらを活用することが第3の光老化対策の要となります。

酸化チタンと酸化亜鉛の粒子サイズ

紫外線散乱剤として広く使われる酸化チタンや酸化亜鉛は、その粒子サイズによって防御できる波長が変わります。一般的に透明度を上げるために粒子をナノ化(極小化)すると、可視光線や赤外線領域の光は透過しやすくなってしまいます。

一方で、粒子径の大きいノンナノの酸化チタンや酸化亜鉛、あるいは「酸化セリウム」などは、ブルーライト領域の光も物理的に跳ね返す効果が高いとされています。

白浮きしやすいデメリットはありますが、物理的なバリア機能を重視するならば、ミネラル成分を豊富に含んだ製品や、ブルーライト対応を明記したパウダー等が有効です。

光線種別ごとの有効な防御成分

ターゲット光線有効とされる主な成分作用機序
ブルーライト酸化セリウム、酸化鉄物理的な散乱・遮蔽
ブルーライトビルベリー葉エキスダメージの緩和・抗酸化
近赤外線酸化チタン(大粒子)、雲母チタン物理的な散乱・遮熱

酸化鉄による可視光線防御

ファンデーションや色付きの日焼け止めに含まれる「酸化鉄(赤酸化鉄、黄酸化鉄、黒酸化鉄)」は、ブルーライトを含む可視光線を効果的に防御することが多くの研究で示されています。

白い日焼け止めだけを塗るよりも、その上に酸化鉄を含むベージュやオークル系のファンデーション、あるいはBBクリームを重ね塗りする方がブルーライトの遮蔽率は格段に上がります。

メイクをすることは単に肌を美しく見せるだけでなく、有害な可視光線から肌を守る強力な盾を纏うことと同義なのです。

抗酸化成分によるダメージの中和

物理的に光を遮断することに加え、肌内部に入り込んだ光によって発生した活性酸素を消去することも重要です。

ビタミンC誘導体、ビタミンE、フラーレン、アスタキサンチンといった強力な抗酸化成分を配合したスキンケアを朝のお手入れに組み込むことで発生した活性酸素が無害化され、酸化ダメージの連鎖を食い止めることができます。

日焼け止めを塗る前の土台作りとして抗酸化美容液を使用することは、サンスクリーン剤の隙間を埋める「肌内部の日傘」として機能します。

インナーケアと生活習慣による防御力強化

体の内側からの抗酸化力を高めるインナーケアと、光を物理的に遮断するグッズの活用や生活習慣の見直しを行うことでスキンケアの効果を補完し、総合的な防御力を高めることができます。

肌の外側からのケアには限界があります。特に目はブルーライトや近赤外線の入り口となるため、アイケアを含めた全身的な対策が必要です。

また、食事から摂取する栄養素が皮膚に蓄積され、それが天然のサングラスのように機能し、光ダメージに対する抵抗力を高めることも科学的に支持されています。

カロテノイドの摂取と「飲む日焼け止め」

植物が自らを強い日差しから守るために作り出す色素成分「カロテノイド」は、人間の体内でも同様の働きをします。特にルテインやゼアキサンチンは、ブルーライトを吸収する性質を持ち、網膜だけでなく皮膚にも存在して光ダメージを軽減します。

また、アスタキサンチンやリコピンは強力な抗酸化作用を持ち、近赤外線による炎症やコラーゲン分解を抑制する助けとなります。

緑黄色野菜や鮭、エビなどを積極的に摂るほか、必要に応じてサプリメント(いわゆる飲む日焼け止め)を活用し、血中の抗酸化濃度を常に高く保つことが大切です。

積極的に摂取したい栄養素リスト

  • ルテイン(ほうれん草、ブロッコリー)
  • アスタキサンチン(鮭、イクラ)
  • ビタミンC・E(果物、アーモンド)

ブルーライトカット製品の活用

仕事でパソコンを使用する時間が長い場合、ブルーライトカットメガネや、画面に貼るフィルターを利用することは必須の対策です。メガネを選ぶ際はカット率だけでなく、どの波長帯をカットするかも確認しましょう。

また、スマートフォンの設定にある「ナイトモード」や「ブルーライト低減モード」を常時オンにすることも有効です。画面の色味が多少暖色系になりますが、肌と目への負担を減らすメリットの方がはるかに大きいです。

物理的に光の発生量を減らす、あるいは目に届く量を減らす工夫を生活動線に組み込みましょう。

遮光アイテムの素材選び

日傘や帽子、衣服を選ぶ際にも近赤外線への配慮が必要です。一般的なUVカット加工は紫外線のみを対象としている場合が多いですが、近年では「遮光率100%」や「遮熱効果」を謳う製品が増えています。

これらは生地の裏側に特殊なラミネート加工などが施されており、可視光線や赤外線も物理的にシャットアウトします。

近赤外線は熱を持つため、遮熱効果のある日傘を使うことは肌への熱ダメージを防ぐと同時に、暑さ対策にもなり一石二鳥です。肌に直接光を当てないための物理的な遮蔽物は最も確実な防御手段です。

よくある質問

ブルーライトカットメガネは肌にも効果がありますか?

メガネは主に網膜を守るためのものですが、大きめのレンズであれば目の周りの皮膚(目尻や目の下)へのブルーライト照射を物理的に遮る効果が期待できます。

目の周りは皮膚が薄く、色素沈着や小ジワができやすいデリケートな部分であるため、メガネによる物理的な防御は目元のエイジングケアとして有効です。

ただし、顔全体を守ることはできないため、スキンケアやメイクによる対策との併用が必要です。

LED照明からも有害な光は出ていますか?

一般的な室内用の白色LED照明にもブルーライトは含まれていますが、太陽光やスマートフォンの直視に比べればエネルギー量は微弱です。通常の生活距離で浴びる分には、直ちに深刻な肌ダメージになる可能性は低いと考えられます。

しかし、至近距離で強い光を放つデスクライトや、撮影用のリングライトなどを長時間顔に当て続けるような環境では、影響が出る可能性があります。

光源との距離を保つことや、直接光を顔に当てすぎない配慮は大切です。

一度受けた光老化のダメージは回復しますか?

光老化による変化(深いシワやたるみ)は自然治癒だけで完全に元通りにすることは困難ですが、適切なケアによって進行を食い止めたり、ある程度の改善を目指すことは可能です。

変性したコラーゲンを除去し、新しいコラーゲンの生成を促すレチノールなどの成分を取り入れたスキンケアや、抗酸化力の高い食事を続けることで、肌の修復機能をサポートできます。

何より重要なのは「これ以上ダメージを蓄積させないこと」であり、今日からの防御が最大の回復策となります。

冬や曇りの日でも近赤外線対策は必要ですか?

必要です。近赤外線は雲や窓ガラスを容易に通過し、大気中の散乱も少ないため、曇りの日や冬場でも地上に降り注ぐ量はそれほど減りません。

むしろ、冬場はコタツやヒーターなどの暖房器具から近赤外線を発する機会が増えるため、屋内での「熱老化」リスクが高まる側面もあります。紫外線対策と同様に、近赤外線対策も365日行うのが理想的です。

スマホのダークモードは効果的ですか?

非常に効果的です。ダークモード(背景を黒、文字を白にする設定)にすることで、画面から発せられる光の総量が大幅に減少し、結果としてブルーライトの曝露量も減ります。

特に夜間や暗い場所でスマホを見る際、白い背景のままだと瞳孔が開いて多くの光を取り込んでしまうため、ダークモードを活用することは目と肌への負担軽減に直結します。

可能な限り常時ダークモード設定にすることをお勧めします。

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この記事を書いた人

Dr.芝容平のアバター Dr.芝容平 Pono clinic院長

Pono clinic 院長 / 日本美容外科学会認定専門医 芝 容平(しば ようへい)

防衛医科大学校卒業後、皮膚科医として研鑽を積み、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医を取得(〜2022年)。その後、大手美容外科にて院長や技術指導医を歴任し、多数の医師の指導にあたる。 「自分の家族や友人に勧められる、誠実で質の高い美容医療」を信条とし、2023年にPono clinicを開業。特にライフワークとする「切らないクマ治療(裏ハムラ・裏ミッドフェイスリフト)」や中顔面の若返り手術において、医学的根拠に基づいた高い技術力に定評がある。

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