クマ治療 総合ガイド|種類・見分け方・原因と治療の選び方【医師が構造で解説】

クマ治療 総合ガイド
種類・見分け方・原因と治療の選び方(構造で解説)

目の下のクマは、表面の「色」だけの問題ではありません。多くは、目の下から中顔面にかけて生じる構造のわずかなズレが、光の当たり方によって“影”として見えている現象です。

黒く見える。青く透けて見える。膨らんで見える。茶色くくすんで見える。
一見「色の違い」に見えても、クマの印象は光がどこに落ちるか(形)で大きく変わります。

このページでは、クマを「種類」や「治療名」で選ぶのではなく、原因の層(どこで影が生まれているか)から整理し、遠回りしない治療選択ができるようにまとめています。

まず結論:このページでわかること

クマ治療で迷わないための結論はシンプルです。原因の層を整理し、必要最小限の層だけを整える。それだけで、選択肢は自然に絞れます。

このページで整理する軸は次の2つです。

  • 皮膚(表皮〜真皮)=「質」(薄さ・小ジワ・透け)
  • 浅層/中間層/深層=「位置」(段差・重心・支持)

※「位置の3層」が基本で、そこに皮膚(質)を足すと4層(皮膚+浅層+中間層+深層)としてより精密に整理できます。

この総合ガイドの使い方(迷わないための入口)

「何が自分に合うか」を、治療名から決める必要はありません。
おすすめの順番は、①原因(層)→②治療候補→③症例です。これがいちばん遠回りしません。

全体像を掴みたい方は、このページを上から順番に。
深層まで関係していそうな方は、途中の「深層」の章と「裏ミッド」の章から読んでも大丈夫です。

迷ったら、次の3つの入口から読んでください。診断ではなく、「まずどこから理解すると遠回りしないか」を決めるためのショートカットです。

影・透け・疲れ感の“主役”に合わせて、最初に読む章を変えるのが理解への近道です。

クマは“色”ではなく構造です(4つの見え方と、2つの整理軸)

クマの見え方には、必ず理由があります。
青く見える、黒く見える、膨らんで見える──。一見「色」の違いに見えても、その多くは目の下と中顔面の位置関係の変化と、そこから生じる形(影)の差が原因です。

4つの見え方(影・透け・茶・膨らみ)

ここでは、クマをまず「見え方」で4つに分けます。多くの方は、これらが複数重なった混合型です。

  • 影クマ(黒クマ):境界の凹凸に光が落ちて“影”として見える
  • 透けクマ(青・赤・紫):皮膚の薄さ+内部の赤み/青みが透けて見える
  • 茶クマ:刺激や炎症でメラニンが増え、薄くくすんで見える
  • 膨らみクマ:脂肪の「量」よりも「位置のズレ」で膨らんで見える

[図1:4分類の全体マップ(常時表示)]
※この図は優劣ではなく「どの現象が強いか」を俯瞰する地図です。

整理軸は「質」と「位置」

クマを“構造”で整理するための軸は2つだけです。

  • 質(皮膚):薄さ・小ジワ・透け・ハリ低下
  • 位置(浅層/中間層/深層):段差・重心・支持のズレ

以降はこの2軸で、読み手が「自分の現在地」を把握できるように整理していきます。

クマが生まれる“構造の仕組み”(3つの構造)

目の下は、皮膚・筋・脂肪・靭帯・骨膜などが重なる多層構造です。

この領域はとても繊細で、ほんのわずかなズレが、影・透け・膨らみとして表面に現れます。中心になるのは次の3つです。

① 境界の“凹み”(影の起点)

目の下には、細い“境界(凹み)”が存在します。
一般に「ティアトラフ」と呼ばれる部位に近い部分です。

骨に近い層で結合が強く、動きが少ないため、光が当たると影の起点になりやすい特徴があります。

補足:ティアトラフとは?

ここでいう「境界(凹み)」は、一般にティアトラフと呼ばれる位置に近い概念です。大切なのは名称よりも、「動きにくい境界に光が落ちると影が出やすい」という役割です。
(詳細)【リンク】ティアトラフとは?

② 眼窩脂肪が“前に押し出される”現象(段差と透けの増強)

境界のすぐ上には眼窩脂肪があります。
境界が強い方では、その動きがそこで制限され、下に下がれず前方へ押し出されたように見えることがあります。


このとき皮膚がわずかに引き伸ばされると、筋肉の赤みや血管の青みが透けやすくなり、透けクマが強調されることがあります。

③ 中顔面の“深層の重心”がゆっくり移動する(疲れた印象の土台)

頬の深い層には、顔の立体を支える脂肪群(SOOF・deep medial cheek fat(DMCF)など)が存在します。
ここではまとめて「深層ユニット」と捉えます。

加齢などの影響で深層ユニットの重心が少しずつ移動すると、境界の影とのコントラストが強まり、頬が平坦〜下向きに見え、顔全体が疲れて見える印象につながることがあります。

最小セルフチェック|あなたのクマはどこから?(診断ではなく整理)

ここから先を迷わず読むために、まず“方向”だけ整理します。診断ではなく、読む順番を決めるための目安です。

結論として、次の3問で「まず読むべき章」が決まります。

  • Q1:影(段差)が主役ですか?(照明で強く見え、正面光で薄れる)
  • Q2:透け(青/赤)や小ジワが主役ですか?(皮膚が薄い・ハリ低下)
  • Q3:目の下だけでなく中顔面全体が疲れて見える感覚がありますか?(影が“線”ではなく“面”)

読み方の目安

クマの種類と見分け方(4つの見え方を“構造”で理解する)

ここでは4分類を、見た目のラベルではなく「何が起きているか」で簡潔に整理します。どの治療が合うかは、結局この理解に戻ってきます。

影クマ(黒クマ):境界の形がつくる影

影クマは、黒い色が付いているのではなく、境界(凹み)の形に光が落ちて影として見える現象です。

影の主役が境界の段差である場合、「色を消す治療」だけでは改善しにくく、段差の“構造”を整える発想が必要になります。

(関連ページ)裏ハムラPONO式裏ハムラ

透けクマ(青・赤・紫):皮膚の薄さと押される力

透けクマは、皮膚が薄い部分で、眼輪筋の赤みや血管の青みが透けて見える状態です。

境界で脂肪の動きが制限されて前方圧が加わると、皮膚がさらに薄く感じられ、色味が目立つことがあります。

透けクマは、位置(構造)と質(皮膚)の両方を分けて考えることが大切です。

(関連ページ)皮膚再生療法(PRPF)

茶クマ:刺激がつくる“防御反応”

茶クマは、刺激や炎症が重なりメラニンが増えて、薄くくすんで見える状態です。

メイクやクレンジングの摩擦、こする癖がある場合は、まず刺激を減らすことが基本になります。構造の凹凸が強いと隠すために刺激が増えやすいので、構造と皮膚の両面で“負担を減らす”ことを考えます。

膨らみクマ:“量”ではなく“位置のズレ”

膨らみは脂肪が多いから、あるいは増えたから起こる、とは限りません。境界で動きが制限され、下へ行けず前方に押し出されたように見えることで、膨らみとして目立つことがあります。

ここで重要なのは「減らす」より「位置を整える」という視点です。まれに量の調整が必要な方もいますが、原因が“位置”である場合には、量だけを減らしても段差が残ることがあります。

(関連ページ)脱脂(経結膜)裏ハムラ

クマが“治らなかった/悪化したように感じた”理由(よくあるズレ)

ここは、責めるための章ではありません。治療が悪いのではなく、原因の層とアプローチが噛み合っていないだけ、というケースが少なくありません。

治療名で選ぶと「層の誤差」が起きる

同じ“影”に見えても、原因は浅層なのか、中間層なのか、深層なのかでまったく変わります。
治療名だけで選ぶと、本来触るべき層からズレてしまい、「変わらない」「残る」という誤差が起きやすくなります。

脱脂で改善しにくいことがある理由

膨らみが“量”ではなく“位置”で起きている場合、脂肪を取るだけでは段差が残り、影が強調されることがあります。

また、量の調整は繊細で、取りすぎると将来的な凹みや痩けた印象につながることがあります。脱脂が合わないのは「足りない」ではなく、そもそも主因が“位置”だった可能性があります。

注入治療(脂肪注入・ヒアルロン酸など)が馴染みにくい条件

境界が強く固定されている部位では、注入治療が馴染みにくいことがあります。境界の上・下どちらに入れても、段差が強調されたり、重く見えたりするケースがあります。

注入の可否は「技術の良し悪し」だけではなく、構造条件で向き不向きが出る領域です。

皮膚切除は「内部を整えてから」考える

目の下は本来、皮膚が大きく余りにくい部位です。「余って見える」背景には、皮膚の弾力低下と内部構造のズレが重なっていることがあります。

そのため当院では、原則として内部構造を整え、それでも必要な場合に限って皮膚へのアプローチを検討するという順番を重視します。表ハムラを否定する意図ではなく、扱える層が違うため“順序”が重要だという整理です。

見え方の調整と、原因の層に合わせた設計


クマ治療には、「いまの見え方を整える調整」と、「影が生まれる層(原因)に合わせて設計するアプローチ」があります。どちらが良い悪いではなく、主因がどの層にあるかで必要な考え方が変わります。
このページでは、後者(原因の層)から整理できるようにまとめています。

クマ治療は“治療名”で選ぶ時代から、“層”で選ぶ時代へ(4層で整理)

ここからが、このページの核です。
クマの原因は、皮膚(質)+浅層+中間層+深層の4層で整理すると、選択が一気にクリアになります。

  • 皮膚(表皮〜真皮):薄さ・小ジワ・色の透け
  • 浅層(境界・眼窩脂肪):段差(影)と膨らみの位置
  • 中間層(骨膜上):浅い重心の低下による“広がる影”
  • 深層(深層ユニット+支持構造):中顔面の土台の重心変化
    ※深層は、骨膜下アプローチで支持構造を解除してはじめて、深層ユニットの重心再配置が成立します。

① 皮膚(表皮〜真皮):質の問題(薄さ・小ジワ・透け)

皮膚が薄い、ハリが落ちた、小ジワや透け感が主役の場合は、皮膚そのもの(質)を整える発想が中心になります。
(関連ページ)皮膚再生療法(PRPF)/外用治療(HQ等)

② 浅層(境界・眼窩脂肪):段差(影)と膨らみの位置

境界の段差、脂肪の前方圧による膨らみが主役の場合、量を減らすよりも「位置」を整える発想が重要になります。
(関連ページ)裏ハムラ脱脂(経結膜)

③ 中間層(骨膜上):影が“線”から“面”へ広がる疲れ影

浅層だけでは説明しきれない“広がる影”がある場合、中間層(骨膜上)の浅い重心のズレが関与していることがあります。
(関連ページ)PONO式裏ハムラ

④ 深層(深層ユニット+支持構造):中顔面の土台の重心変化

深層ユニットの重心変化が主体になると、影が線ではなく面として広がり、頬の立体や顔全体の印象に影響することがあります。
この領域は、表面から引っぱるだけでは安定しにくいケースがあり、骨膜下へ到達するアプローチが選択肢になることがあります。

深層が主因のケースでは、表面の調整だけで安定しにくいことがあります。適応がある場合に限り、深い層へ到達するアプローチが選択肢になります。

Pono Clinic Tokyo の構造治療(3つのアプローチ+皮膚の治療)

ここでは、当院の治療を“名前の説明”ではなく、“層の役割”で簡潔に位置づけます。詳細は各ページで、適応・限界・ダウンタイムまで含めて整理しています。

裏ハムラ
(浅層:段差をなだらかに)

脂肪を「取る」のではなく、前後の位置関係を整えることで、浅層の段差をなだらかにする治療です。

PONO式裏ハムラ
(中間層:浅層と中間層をつなぐ)

影が線から面へ広がるタイプに向き合い、浅層に加えて骨膜上の浅い重心(中間層)まで補正し、影の“広がり方”を整えます。

裏ミッドフェイスリフト(深層:土台を整える)

経結膜のまま骨膜下へ到達し、深層ユニットと支持構造にアプローチすることで、中顔面の土台のバランスに向き合う治療です。

皮膚再生療法(PRPF)(皮膚:質を整える)

小ジワや透け感が強い場合、構造(位置)に加えて皮膚そのもの(質)の変化が関与していることがあります。そうしたケースでは、皮膚の厚みと弾力を内側から整える治療を検討します。
皮膚再生療法(PRPF)の詳細へ

年齢と治療のタイミング


クマ治療は「何歳から・何歳まで」で決めるものではなく、
いま起きている原因が皮膚(質)なのか/浅層〜深層(位置)なのかで選択が変わります。

早い段階で原因の層を整理できると、不要な治療を避けやすく、結果として遠回りが減ります。
迷う場合は、まず診察で“どの層が主因か”を確認したうえで、必要最小限の選択肢に絞るのが安全です。

費用・ダウンタイム・リスク(全体像の見方)

治療法によって、費用もダウンタイムも変わります。ここでは、比較のための“ものさし”として全体像だけ整理します。正確な金額は料金ページをご確認ください。

費用の目安(イメージ)

(表の前に結論)費用は「治療名」よりも、「触る層の深さ」と「範囲」で変わります。

治療区分目安の費用帯主な役割
外用・皮膚の治療数万円〜質(薄さ・透け・小ジワ)
脱脂(経結膜)十数万円〜量の調整(適応がある場合)
裏ハムラ/PONO式裏ハムラ数十万円〜段差〜疲れ影(浅層〜中間層)
裏ミッドフェイスリフト数十万円後半〜深層の土台(症状と適応による)

【リンク】料金ページへ

ダウンタイムの考え方(目安)

(表の前に結論)ダウンタイムは“深さ”だけでなく、体質・内出血傾向・生活条件で変わります。

治療区分ダウンタイムの目安補足
外用・皮膚の治療ほぼなし〜日常生活に支障が少ないことが多い
脱脂(経結膜)数日〜1週間腫れ・内出血が出ることも
裏ハムラ/PONO式1〜2週間経過で自然に馴染む
裏ミッド1〜2週間落ち着くまで時間が必要な場合

共通するリスク(説明の方針)

(箇条書き前に結論)どの治療にも、メリットと同じ重さの注意点があります。診察ではここを必ず丁寧に説明します。

  • 腫れ・内出血
  • 左右差・仕上がりの個人差
  • 感染などの一般的な術後リスク
  • 過度な操作による不自然さ(適応と設計で回避を目指す)

「自分に合う治療が分からない」方へ(次に見るべきページ)

このページは“地図”です。次の一歩は、目的別に最短で進めるのが安全です。

  • 全体像を最初から整理したい → このページを上から
  • 治療ごとの違いを詳しく知りたい → 治療メニュー(クマ治療)
  • 変化の幅を先に確認したい → 【リンク】症例一覧(種類別/施術別)
  • 一緒に原因の層を整理したい → 【ボタン】カウンセリング予約(LINE)

※カウンセリングは診察の一環として行い、治療の必要性や適応は医師が診察のうえ判断します。

FAQ

Q. クマ治療は何科に相談すべき?
A. 茶色いくすみや炎症が主なら皮膚の評価が重要になる一方、段差・膨らみ・中顔面の立体バランスが主なら構造の評価が重要になります。迷う場合は、まず診察で「主因が質(皮膚)か、位置(層)か」を整理するのが近道です。

監修医師:芝 容平(ポノクリニック東京 院長)
・日本美容外科学会(JSAS)専門医
・日本形成外科学会(JSAPS)所属
・PRPF学会所属